曲目解説その2
青猫のトルソ、追加しました。
氏家英男氏が下記の岡城の文章についてご解説いただき、ウェブサイトにご掲載いただきました。ぜひご参照ください。https://note.mu/hujiie/n/n35566afa7610
坂本龍一作曲「Dear Liz」
複数のバージョンあり。ピアノソロバージョンの他に、サントリーオールドのCMのために書かれた『DEAR LIZ-Strings Version』(アルバム「CM/TV」収録)そして、YouTubeでサントリーオールドの第3バージョン最近発見。
映像が静止しているので音が余計際立つ。徐長なのはご法度の1分間の凝縮の世界。いかに視聴者の心を短時間でぎゅっと惹きつけるがCMソングの勝負だから、音楽の全体像は瞬時につかめるものでなくてはいけないわけよね。だから「Dear Liz」のオリジナルピアノバージョンとCMバージョンでは大分違っている。
(以下「CM/TV」アルバムのストリングバージョンについて)楽器編成やテンポを恣意的に変えることによって曲の雰囲気が違っているのは勿論あるけど、それだけに頼っているのではなく、和声の細部を微妙に違えることによって理論的に曲の雰囲気を変えていることに教授の非常なこだわりを見る思いがしてしまう。Dear LizはドリアのIVの和音がポイントだけど、オリジナルピアノバージョンではそのドリアのIVを7の和音や9の和音にして音をぶつけたり、第4音を付加させる(第11音付加って言っても同じよね)ことで音をぶつけて躍動感や緊張感やスリリングさやテンポ感を出している。それに対してCMバージョンではあくまでもドリアのIVの3和音に固執することでシンプルさと丸みを出して、ドリアのIVのもつ和音の特徴を際立たせて短時間で視聴者にわかりやすくアピールすることに配慮されているし、さらにこのCMの持つちょっと「癒し」のような要素もそれから引き出している。更には、他の箇所では、7の和音でも配置にこだわって、音をぶつけずに根音の上に基本形の密集でのっけてシンプルに7の和音を連続させることで、優しい雰囲気をつくっている。和音の種類は同じでも、配置を変えたり音をたったひとつ削ったり付け加えたりするだけで印象が全く違ってくるのが和声。教授のこだわりよね。 ---岡城千歳
以下手書きのメモで汚くて申し訳ありませんが、アップしてみました。
ドリアのIVって?